Yuki talks spirit...
〜ゆ う が 語 る 心 霊〜
「霊能者U」
◆黙して奢らず
妖精の間の他の部屋の内容にも書きましたが、「自信と慢心は、紙一重である」
この言葉を私は常に自分に突きつけてきました。
そして、それは自分のスタンスとしてはあながち間違いではなかった・・と
感じる昨今です。しかし、哀しい凡夫である自分は、ともすれば奢る心が
自分の中に芽生え余計な枝葉を茂らせ、前が見えなくなる事がある。
U先生にお目にかかった時、頭をガツンと殴られたような気がしたものです。
それは、真の霊能者は、
「余計な事を言わない。みたものをすぐに口に出さない。」
その言葉を聞き、そこに含まれる言葉の重みを噛み締めました。
人は、他者に認められたい心から、自分がどのようなものであるかを
言葉、あるいは態度で懸命に説明しようとするものです。友人関係の中であるなら
それもまた、ひとつの方法ですしコミュニケーションの基本でしょう。
が、霊能者たるもの、それを安易にしてはいけない。
自分の力を他者に誇示してはならない。私はそう理解しました。
霊視した内容をすべて告げること、それは自分の霊能力をひらけかすことであり
相談者にとって必ずしも必要であるかどうかを見極める真心を持たねば
人として、霊能を駆使する者としては正道ではないのではないかと思います。
吉田綾師の霊談集の記録を読むと師は、相談者にとっては気の抜けるほど
あっさりとした言い様をされている場面がしばしばあります。
しかし、問題は相談者の抱える悩みや苦しみをきちんと受け止め、解決しているか
否かであり、自分の霊能力をことさら他人に認めさせる必要はないのだと感じたもの
でした。
前の項でお話したS先生も同様の事をおっしゃっておりました。御高齢でも
尚、精力的に仕事の依頼を受けていましたが、御自分がどのように優れた
力があるかなどとは決して言わず、むしろ、相談者の心を和ませるかのように
若い頃の失敗談など、緊張を解すようなお話をされていたそうです。
一例を挙げますが、ある日、ある会社で大事件が起こりました。それは、
パートさんが持ち帰った仕事をパートさんの子供さんが、親の仕事をみて
手伝いたい一心から親には内緒で、その仕事を手伝ってしまいました。
子供の仕事が通用するはずはなく、不良品となって、他の製品に紛れて
しまいました。そして、それに気がついた時には出荷された後で製品の
回収は事実上不可能でしたが、それは、大事故に繋がる危険をもあった
会社としては、重大な失態でした。そして、それにより会社の存亡がかかっていた
というものだったのです。。
コツコツと正直に、それこそ土日も休まず、寝る暇も惜しみ家族の為に一心に
働きに働き少しずつ大きくしてきた会社です。
不良品は会社の信用を落とし取り引き先を全て失う・・という緊急事態でした。
会社が倒産すれば、自分の家族はおろか、社員の家族までの人生が全て一変し
てしまいます。
困った社長は、それこそ藁にもすがる思いでS先生に相談しましたが、S先生は
多くを語らず、「わかりました。事故に繋がる製品は8個、それらを使われない
ように封じます」と言ったのみでした。
その後、一般の人からはみれば奇跡とも思える展開で事態は解決しました。
そこに何があったのかは私にはわかりません。
私は社長が誠意を持って働き続け、時代の荒波を潜ってきたことにたいして
S先生に引き合わされた、そして、S先生はその霊界の意思の窓口として
霊界の意思に添う形で問題を解決されたのだろうと思っています。
そこに、このようにしてこのような力を駆使したからそんな結果を得た・・・という
説明は不要でした。
結果が全てを物語っているからでしょうか。
さて、U先生は御自分の霊能力がどのように素晴らしいものであるか・・・
などというようなことは御自分からは一言もお話はされませんでした。
しかし、その素晴らしさは多くの方の知るところであり、弟子をとるのではなく
自然に志しを抱く人が集まるのだなぁと感じました。
その視線はあくまでも穏やかですが、言葉のひとことにU先生が実践され
てきた真実の重みが溢れている。それが、人を感動させるのでしょう。
ここに霊能者としての資質のある人がいたとして、その耀きは・・・
組成は同じではあるがダイヤモンドと石炭ほどの違いがあると喩えたら、
U先生には失礼かもしれません。が、
ただの石炭として、自己を燃やし尽くしただの灰という虚しい骸をさらすか、それとも
美しい光を放ち人を時には感動させることが出来るか。
それは、あくまでも謙虚なこころと真心で毎日を生かされていく・・・その事が
まずは自分が磨かれたダイヤモンドの耀きには及ばずとも、せめて原石になれる
ことであるのてはないかと感じました。
そして、霊能者として、人として、その修行は毎日の日常の積み重ねの中で
十分出来るし、それが本当であるとも伺いました。
U先生は霊能者は自分が自信を持って生きる事、そして行動によって示すことに
よって、他人の手本となれたらそれが真の霊能者であると思っておられる・・
そんなふうに師のお弟子から伺っています。
それらについては、次回にお話します。
あすはいざ けふのひとひを
こころゆも
みおやにたぐい わざをしまさね
[大意;人間知恵で種々考えてみたところ、それは徒に時間の消失である
それより、今日のひと日を大切に懸命に働き、結果は御祖、つまり守護指導の
背後霊に任せなさい]
(財)日本心霊科学協会発行 「吉田綾 霊談集・下」より
◆この項続く
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