ゆうが語る、フォークロア
いつか見たものはなんだったのだろう?
本 当 に あ っ た 妖 精 を 見 た 話 |
幼い頃、私は木や草花が大好きでした。
そのころにはもうゆうの周りには森も林もありませんでしたが、
街がビルに囲まれていたとしても、
道端の草むらに咲く小さな花が大好きでした。
私は随分と長い間、草や木の精霊と話ができるものと信じていたのです。
<第一話〜オニオン・キッズ>
これは、私がまだティーンエイジだった頃のお話です。
それは、夜、8時をわずかに回ったばかりのこと・・・・。
いつもなら、部屋にこもって油絵を描いている私ですが、
その日、私は夕飯を終えて、ベッドに寝転んで本を読んでいました。
すると、本のページの間から、なにかがにゅうっと顔を出したのです。
「・・・・・?」
「あっ・・・・。たまねぎだ・・・・・。」
そう、それは、小さな4pぐらいのたまねぎ、、、、。いえ、玉ねぎのような生き物です。
私がじっと「それ」を見つめていると、「彼」はさらに、
本の間から身体を乗り出してきました。
玉ねぎの頭に小さな点のような目と口。横縞のシャツを着て半ズボンに靴。細い手足。
私がびっくりしているうちに、彼は開いた本の上に飛び乗ってきて、
なんと、、ラジオ体操を始めました。
「オニオン・キッズだぞぉ」
可愛らしい声でそういうと、彼はぴょんと本の上から飛び降り枕の裏に逃げました。
私があわてて枕をひっくりかえすと、彼はもう一度体操をしながら、消えていきました。
玉ねぎ小僧がだんだんと消えていくうちに思い出したのは、
その夜、母のお手伝いをしていた私は夕飯のハンバーグを作るため、
大量の玉ねぎをみじん切りにしていたのです。
涙を流しながら玉ねぎを刻んでいて、もう、玉ねぎにうんざりしていたところでした。
だからといって、現れたわけではないでしょうけれど。
「玉ねぎが出た!」といって、家族に訴えましたが笑われたのは言うまでもありません。
この話しをすると大抵は笑われますが、
私は、できれば、もう一度彼と再会したいと思います。
幻を見たんじゃないよ。本当に、いたんだよ。オニオンキッズは・・・。
では、またね。
※幽霊を見たと言うと、真面目に聞いてくれる人もいるのに、
玉ねぎ小僧を見たと言ったら笑われるのは、なぜ?
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