いのり
願わくば、友よ。
あなたをそこにとどませる真綿のごとき空気の層は、
苦しみを倍加させるものではなく
眠りを誘うやわらかな揺りかごになることを。
澄み渡る蒼空に浮かぶひとかけらの雲のように凛として
私の知るその姿は、過去のどのような困難にも
弄ばれることなく打ち勝ってきたではないか。
あなたを取り戻すことができるのなら
道端の石塊のひとつになってでも私はよろこんで横たわろう。
あなたが掴めるものなら
たとえ風雨にさらされようとも崖淵に生える雑草として
そこで私は待っている。
友へ。
私は暗がりは恐れない。 だからずっとここに立っている。
その道筋に迷いながらも僅かな灯かりが見えるのなら
その一歩を踏み出して欲しい。
それは戻り道ではあるけれど。
認めたくない現実をなぞることになるけれど。
私はいつでもここで待っているから。
あなたの笑顔を待っているから。
(99.2.22)
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