☆彡ドラゴンズなゆうの休暇☆彡
《ゆうは熱心に休暇を過ごしたっ!》PART3
9月22日〜午後〜さながらインディアナジョーンズ
カーナビソフトの示す通りに車を走らせたら、とんでもなく細い道に
入ってしまった。見慣れた、石畳の細い細い道。
観光客が周辺を散策する時に歩く、車一台がやっと通れる程の
狭い道である。
歩いている人は一様になんだなんだ?何故、こんな場所を車が?
という顔をしている。驚く人もあれば、あからさまに迷惑そうな顔の人もいる。
ミツルンは、でもここは通行禁止じゃないよね・・・といいながら
ハンドルを駆使して狭い道を徐行以下の速度で走る。
かたつむりになった、ミツルン3号、BMW。
京都の街は通りを一本はいると極端に狭い道になっているところがあって
こういう場所は生活道路として地元の人は通行可ではあるが
こんな大きな車は誰も止めていない。せいぜい小型車なのだ。
カーナビは、いきなり、「左に曲がって下さい」と威張って言う。
が・・・。あまりに狭くて曲がれない。
いくらハンドルをきっても曲がることは不可能な道を行けという。
道を歩く人が私達の乗った車を避けながらこちらを注目している。
仕方なく真っ直ぐ走ってもう一度表通りに出ようと左の細い道へ
出ようとしたら・・・。
「うあ〜〜〜〜っ!ミツルン、階段よ、階段っ!!ブレーキ、ブレーキ」
私達は驚き大声を出してしまった。
坂道は、階段であった。ああ、驚いた。
殆ど、気分は映画のインディ・ジョーンズ(魔宮の伝説)状態である。
叫びぱなしの私達。
ミツルンがジョーンズ博士だとすると、私はさしずめ中国マフィアの悪党
「ヌルハチ」の情婦(美人)か。Qちゃんは、中国孤児のショーティね。。
ともかく、何とかここを抜けないとどうにもならない。
車は強引に細い石畳を抜け、やっと、車が一台半ぐらいの幅の道に
出られた。
すると、目の前に24時間営業の駐車場があるではないか。
ひとまず、ここに止めて後は歩こうという事になった。
車を止めて道一本隔てた場所に出ると・・・なんと大型のバスが
沢山止まっている。ううむ。カーナビは知らん振りしていたが、やはり、
最初に通ろうと思った道は通っても良かったのだな。
ミツルンはおばかなカーナビにちょっと怒っている。
9月22日〜午後〜清水センターへ
空模様がかなり怪しい。
車を降りるとむんとした湿気に包まれた。
しかし、二年半ぶりの清水はどうしたということだろう。
すっかり様変わりしているではないか。
しかも!清水焼きセンターの隣にMバーガーの店がある。こんなもの、一体
いつ出来たのだろう。私が来ない間に、駐車場の近くにもハンバーグ屋が
出来ているし。
普通の民家の屋根のMバーガー。観光地化が進み失速したような街並み。
私の心に残っている清水の街とは大分ずれている。
それでも、清水焼きセンターはちゃんとあった。
ちゃんとあったが、以前のように目の保養になるような品物はあまりなくて
観光客が一瞬迷って買える程度の値段の品の他は、
お土産用に手頃な値段のものばかりになってしまっている。
ここではないが、ある年、私は清水焼きの小さな店で
抹茶碗の素晴らしいものを見つけた。
油彩天目のそれは、それは美しく、値段を見ると28000円なので
やや高いけれど思い切って買おうとお店の高い敷居もなんのその・・・
ショーウィンドウのを見せて下さい!と明るくにこやかにお店に入っていった。
店主は奥の方にいたが、私をじろおりと見る。
で、それを見せてもらったんですが、私はゼロを一つ見落としていたのだ。
御値段、28万円!!買えるわけがない。
私は文字どおり「見せてもらっただけ」で心の中で冷や汗をかきながら
にじりさがり、お店を後にして来た。いやあ、あの時ほどあせった事はない。
何しろ、まだ、若かった。
それはさておき・・・。
清水センターのお店の品物を物色していたら、あった!
あの、私の割れた湯飲み茶碗と同じ柄がっ!しかも、一個だけっ!
しかも、しかも、なんと私が買った時より2000円も安いではないか。
これを求めずして、何を求めようか!?
私は嬉しくて、「これを買うっ。」といって、他の品物を見ている間も
ずっとそれを握っていた。無理矢理引き離された恋人に再会したかの
ような感動が私を包むのであった。
が・・・。家に帰って来て、早速割れた茶碗と比べてみた。割れた茶碗は
そのうち、金で修理して焼き直してもらおうととってあったのだが・・・。
絵付けは同じであったが、焦げ茶色の発色が悪く、しかも線が二本
足りないではないか。私は、似て非なるものを買ってしまったというわけだ。
どうりで、2000円も値段が違うわけである。
私は同じものを見つけて興奮したあまり、細かいところまで気がつかなかった。
いや、「なんか変だな、これ。」とは感じていたのだが、どこが違うのか
わからなかったというのが正直なところである。というのも、他に目を奪われて
たんですねぇ・・。次々と欲しいものが出て来るではないか。
全く、この店は宝の山である。
その後、店内を見回していていて、あれもこれもと欲張ったが、
現実は厳しいものである。
赤貧への道を踏み出した私には欲しいものをすべて手に入れるという
事は不可能であった。
しかし、ここでは他にぼうっとしたうさぎの絵付けの湯飲み茶碗二組と
ミニ花瓶(私は使い物にならない実用的ではないミニ花瓶を集めるのが好き)、
白い釉薬に桜の花びらがちょこんと描かれている安いけれど可愛い香炉を
一つ買った。それでも、それなりに大満足である。
旅の目的は、ここで終了した・・・・。というわけにはまだまだいかない。
お店を出てから、ここまで来たら唐辛子を買わなきゃねぇといいながら
私達は七味家へ立ち寄った。
母が生きている頃は、母がここの唐辛子を好きだった事もあって
必ずお土産に買っていったものだ。
私はここで小さな器付きの唐辛子を買った。
私が知らないうちに、ミツルンは、この店でチーズを買ったという。
唐辛子屋に、チーズ。なんで?
「だって、女の子が買っているのが美味そうだった」とか。
ここでも、月日のギャップが私を打ちのめした。
いつから、七味家でチーズを売る事になったのだろう?
本当はお寺などもみたかったのであるが、茶碗を買うのに大分時間が
とられてしまいひとみたちに会う約束の時間が迫ってきた。
私達は、京都駅へ向かうべく、出発。
雨が大分降ってきた。
9月22日〜夕方〜なんなんだ?!ここは、京都駅かっ?!
雨が、かなり強く降って来た。
出来れば早目に京都駅へ着いて、空いた時間でお土産を買おうという
ことになった。またしても、お土産である。
旅行の楽しみは、自分にお土産を買う事である。
この、厳粛なる私の掟、事実に、一体誰が異議を唱えられようか・・・。
まず、駅で買える漬物を買ってしまおうという事になった。
そのあたりで妥協するとして、「西利」がいいやということになった。
私が子供の頃から食べてる馴染みの漬け物は上京区にある「近為」である。
ここの「柚こぼし(ゆこぼし)」はとても美味しかった。大根の拍子切りにしたのを
柚とほんの少しの唐辛子で漬けた冬の漬物である。これを祖父が買ってくると
私は妹と二人でパリパリと食べてしまって叱られたものである
しかし、25年ほど前から味が突然変わってしまった。そのうちに、
大手の漬物屋でもこれを真似た商品が出てからますますいけなくなった。
そんなわけで、幼い頃の味を私は一つ失っている。もう、ここの漬物は
5年ほど食べていない。
とにかく、漬物の講釈はいいから、駅の周辺に駐車場を探そうという事に
なって駅へやってきた。
駅は、私の知っている京都駅ではなかった。
あまりの様変わりに・・・私は声を飲み込んでしまった。
これは、一体・・・・!
京都駅の再開発の問題は新聞などで知っているつもりだったが
ここまで変わっているとは想像が出来なかった。
この、近代的なオブジェのような建物が、京都の顔かっ!?
いや、しかし。様変わりした駅に驚いている場合ではない。
駐車場をまず確保しなければ。
幸い、駅ビルの地下が駐車場になっているらしいのでそこに止める事にした。
車が地下に入っていこうとする時、私は
「うあ〜〜〜〜っ」と恐怖の悲鳴を上げてしまった。
ミツルンとQちゃんが「どうしたの?」という。
だって、さっきの清水の階段を思い出したんだもの。
私は一瞬、地下へ降りる階段を車が吸い込まれるのかと思ったのだ。
二人は、そんな事あるわけないじゃないと、ゲラゲラ笑う。
しかし。ある訳がないと、何故言える?
このスロープが、ある日突然階段になっていたとしても、
何の不思議もないではないか・・・。ああ、怖かった。
地下の駐車場は、限りなく広い。
空いたスペースに車を止めて、私達はエレベーターで地下街に上がった。
帰りは新幹線なので、この時、荷物を全部降ろした。
私は愛用のクーカイのミニリュック一つで手ぶらであったが、Qちゃんは
お土産の袋をたくさん持っている。
私は清水で買った茶碗の入った紙袋をどうしても持つんだというQちゃんから
奪うと自分で大事に抱えて歩き出した。
9月22日〜夕方〜見知らぬ街に来たようだ
約束の時間まで一時間半ほどあったので、地下街の店を見て回った。
初めて来る街のようである。
私は袋物屋で数珠入れを探したがいいものがなかったので
結局ちり緬の巾着袋に兎が刺繍してあるものを散々迷った末買った。
ミツルンに、これとこれとどれがいい?と聞くのに、
「俺だったら、迷わず500円のこっちのを買うよ」といわれてしまった。
こっちの、500円の、か・・・。確かに。
聞いた私が悪かったです。
漬物屋では、小皿に出してある試食品をばりばりと食べている人がいる。
誰とはいわないが。。
優しい私は、両手で荷物が塞がっているQちゃんの為に、彼の口に楊枝で
試食の漬物各種を刺して漬物を食べさせてあげた。
口に持っていくといくらでも食べるので面白い。動物のようだ。
しかし、食べただけではなくて、ちゃんと買ったのでまあ、いいか。
なんだかんだと地下街をうろうろしているうちに、時間が迫ってきた。
いよいよ、あの「ひとみのひとみ」のひとみに初めて会うのである!
9月22日〜6時半〜クライマックスは、ひとみとデート!
烏丸中央口。
ひとみと知り合って二年半。
ひとみとは初めて会うのであるが電話でよく連絡をとっているので
旧知の友に会うような感じである。
もしかしたら、現実の友達より親しく知っているような気もしないではない。
そんな錯覚を覚えるほど、この約二年というものの毎晩のように
ネットで会話をしてきたのである。
今回は名古屋で野球を観戦してからどこかの温泉にでも行って帰って
来るつもりであったのだが、私の知らないところでQちゃんとひとみが
会う約束をしていたのである。
普段はほったらかしにしているHPのチャット上で、たまたま
二人が昼休みに出会い、会う約束をしたというわけなのだ。
ところである日、ひとみは、「おっかない画像」を送ってきた。
サングラスをして、髭が生え、目線でこちらを睨み倒している画像である。
だから、ひとみのイメージはずっとおっかない人であった。
そういえば、誰かがひとみはヤ○ザ!と評していたではないか。
しかし、電話で話すと優しい口調で話しは漫才のようで可笑しい。
このギャップは埋まるのだろうか。
約束の場所で約束の時間、突然、皆が集ってしまった。
なんだか、とても照れた。皆、ハハハと笑いながら照れて初めましてとか
こんばんはとか言っている。「ゆうは〜?」なんて、声が聞こえている。
私はひとみたちが立っている柱の後ろから近寄って、「わっ」と脅かした。
実物のひとみは髪を七三に分けた、全く「普通」の人であった。
こら、一体どこがヤ○ザかね?どう見ても普通のサラリーマンではないか。
正しいニッポンの青年である。ううむ・・・。
どこかで食事しようという約束だったので
わいわい騒ぎながらエスカレーターに乗った。
私は「しまった、納豆5kgを持ってくるのを忘れたっ!」と
ひとみの後ろから言ったら、かんにんしてや〜とひとみが応える。
えりが、「猿のお面も、だよね」という。えりって、やっぱり可愛い。
そう、「柳風荘のゆう」においてはひとみに会う時には厳粛な掟があるのである。
すなわち・・・。
納豆5kg、5メートル四方の紙で作った猿の御面をかぶらなければならない。
だれが、この掟を作ったかというと、この私である。私が勝手に決めた。
ちなみに、ひとみは納豆が大嫌いなのである。
途中のエレベータの中で、Qちゃんが「ほら、お友達がいるで」という。
なにかと思って見たら、子供が二人、野球帽を被っていて
一人がジャイアンツの帽子を、もう一人がドラゴンズの帽子を被っている。
どうやら、二人は兄弟らしい。
私は「フッフッフ」と笑って、おもむろに手に持った紙袋の中から
ドラゴンズの帽子を出すと、それを自分の頭に乗せて彼等に見せた。
すると・・・。その兄弟はおおいに戸惑った様子であり、二人を連れた
お母さんらしい人は笑みを浮かべてはいるけれど顔が引き攣っている。
エレベーターの扉が開いた途端に脱兎の如く逃げるように外に出てしまった。
どうも私は「変な人」に思われてしまったようである。
私はシンパシーを示したつもりだったのであるが。心外である。
ひとみもミツルンもえりもQちゃんまでもが笑う。
ビルの食堂街の空いている店に入った。
私は名古屋のあの広島の選手と遭遇したホテルの喫茶店でTちゃんから
預かってきたコースターにしたためたひとみへのメッセージを渡した。
「見たかった(はあと)」と書いてある。
すかさず、ミツルンが「ハートのマークは、ゆうが描いたんだからね」と
舞台裏をばらしてしまった。つまんないの。
しかし、この店は空いているだけあって・・・。
1800円の「記念御膳」というのを頼んだのだが、これがまた、
量が馬鹿にしているほど少ない。
これで1800円か。しかし、今回の旅では、食事にはあまり当たらなかった。
Qちゃんとミツルンはたちまち食べ終えてしまった。
私は刺身があとふたきれは食べたいと訴えた。
訴えたが、後でねといわれてしまった。
うちでいう、「後でね」とは、もうないよと同義語なのである。
お腹が少しもいっぱいにならないばかりが、かえって少しだけ食べたので
腹ぺこになってしまった。
そこを出てから喫茶店を探したが気の利いた店がない。
仕方なく、私達はヤングの集う店にぞろぞろと入っていった。
ちょっと、客層としては上品な私達は浮いている感もあるが。。
私がワッフルを頼むといったら、ミツルンはサンドイッチを、ひとみたちも
ワッフルを頼んでいる。何だね皆、やはりお腹が空いているんじゃないの。
初めて頼んだワッフルは大変美味しかったです。
そこで時間ギリギリまで話をしていよいよ新幹線の時間が迫ってきたので
駅に向かった。ミツルンとは、駅の改札で別れた。
またね、ミツルン!いろいろと、ありがとう。楽しかった!
ひとみとえりは新幹線の改札まで送ってくれた。
私は奈良線と新幹線の改札がひどく接近していたので驚いてしまった。
改修工事はここまで進出していのか。。
新幹線の時刻15分前に改札に入った。
えりとひとみと私達はいつまでも手を振っていた。
「またねっ!」「バイバイッ!」名残は尽きない。
新幹線は定刻通り京都を出発し、私達は帰路に就いた。