◆第2回目〜五番小川山・語歌堂から十四番長岳山・今宮坊◆
出発までの三週間、どれほどこの日を待ち望んでいただろう。
この日も快晴だった。
私たちは、前回同様朝5時に起き、第2回目の区切り打ちに出発した。
前日にアクセスをあれこれと検討したが、結局同じルートで秩父まで出ることにした。
来るはずの始発のバスが待てど暮らせど来ず、
慌ててタクシーを拾って駅まで駆けつけるというハプニングもあった。
早朝の為バスや電車の本数が限られているから乗り遅れたら大変な時間のロスになる。
なかなかひやひやしたシーンであった。
今回は寝不足などによる体力の消耗を避けるため、前日の11時過ぎには
床に就いたのだが、それまでなんともなかった私が胃腸痛を起こして
夜中に鎮痛薬(ブスコパン)を飲んで凌いだ。
アレルギーが出そうな気配に、もしもアレルギーが出たらすぐに全身が
真っ赤に腫れ上がるので、巡礼は無理かもしれないとくじけそうになる。
目をつむりながらひたすらお薬師様とお不動様の真言を唱え、般若心経を心の中で
なぞり念仏も唱える。全く神頼みであった。
巡礼前の一週間ほどは精進料理で心身を清浄にしようと思って
それなりの料理を作っていたのであるが、前日の夕食に体力をつけるためと称し
9種類の精進揚げをたくさん作って山ほど食べたのがいけなかったらしい。
普段食べつけない油物を大量に摂ったツケをはらうことになってしまった。
何事も程々であるのが一番であるとあらためて学んだわけである。
ところで、私が寺社仏閣に詣でる前日はいつも必ず、決まって確実に雨が降る。
そして、翌日には必ず晴れるという妙な法則がある。
この日も例外ではなかった。
しかし、考えてみると晴れるためには雨が降らねばならない。
春が来るには厳しい冬があるように。
そう思えば、神仏への参拝を自然に祝福されているような気にもなる。
午前9時、 清々しく晴れた朝、私たちは秩父駅に降り立った。
既に駅のバス停には巡礼の人やハイカーで賑わっている。
電車の中で既に着替えていた私たちは、初めて廻る人たちや
既に別の場所を廻っているという尼様に声を掛けられて
互いに情報交換をしたりしてバスの時間を待った。
前回終了した語歌堂は一番へ行く道の途中にある。
今日はどんな出会いがあるだろうか。
●第一回の区切り打ちを終えた語歌堂の納経所のある長興寺山門前にて。
出発前の記念撮影。修理を終えた数珠が五月の朝日を反射して光っていた。