昨 日 見 た 夢 は な ん だ ろ う?
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死者から食べ物をもらう夢は、夢主に何かを警告する暗示だというが、私は
母が死んでから母に良く料理を作ってもらって食べている。
それは懐かしい味のするうどんであったり、子供の頃の好物だったりと様々だ。
母を亡くした心の傷がいまだに癒えない私の幼児性が見せる夢なのかは分からないが
今まで夢の中で食べたのは、それは私の記憶にある物ばかりだったのだが・・・。
母が楽しそうに、こんなの作ったから、食べる?と私に聞いた。
それは香り高い新米で炊いたご飯だったのだが、どうも様子が違う。
私が黙っていると母は、もう一度作るからね、と言って作り方を説明しながら
私の目の前で料理をはじめた。
新米を研いでご飯を炊くと、次に母はサツマイモを取り出して大ぶりの乱切りにして
水にさらした。私はそれを眺めながら、母はどうやら大学芋を作っているらしいという
ことに気がついた。私の期待を裏切らず、母は切ったサツマイモの水気を切ると
油で揚げはじめた。サツマイモの美味しそうな香りとほっくりとした黄色が鮮やかだ。
見事な黄金色に揚がったサツマイモに母は「これが、秘密・・。」とつぶやきながら
たった今、油からあげたサツマイモに大胆にタレをかけまわしはじめた。
私が、あれ?大学芋じゃないのかな?と思っていると母は、タレの染みたサツマイモを
炊き上がったご飯の中に入れてしゃもじでかき回して「出来上がり。」と実に嬉しそうに
私をみている。。試食しなくちゃいけないかな?と思いつつも、味の予測ができない
私は恐る恐る、ほんの一口だけ味見をした。
サツマイモにかけたタレは、うなぎのタレに使うような、濃い醤油の甘辛い味がした。
しかもサツマイモのふっくらとした甘みを引き立ててとても美味しい・・・・。
お母さん、これは何?私が尋ねると母は笑顔で答えた。
「炊き揚げご飯・・・」
「・・・・・・・・・・・・・。え・・?」
[揚げ物が入っているから、炊き揚げご飯。」
私はそこで夢から覚めた・・・。お腹は一杯だった。
母は生きている頃は色々な料理を美味しく作ってくれたが、
時々「いたずら」といって家族の予想がつかない物をこしらえることがあった。
夢の中で作り方をしっかり見てはいたのだが・・、私には現実にこれを作る勇気はない。
せっかく考えたのに、お母さん、ごめんね・・・・。
※米を炊いて食べる夢は、幸運、運気の上昇のしるし。逆に生米を食べる夢は
散在の暗示。凶兆である・・・・。
それではまた、夢の中でお会いしましょう。
風邪気味の私は、就寝前に漢方薬の風邪薬を飲んでベッドに入った。真夜中、
ひどい寝汗をかいている自分に気がつき目が覚めた。
それは、たった今見ていた悪夢からの解放でもあったのだが・・・。
深夜にもかかわらずふと思い立って、書斎の本箱から久しく読んでいない「夢解き事典」
(不二龍彦著)を取り出してページを繰る内になるほどな・・と感心してしまった。
台風10号の接近に伴って日本全体が低気圧に支配されている一昨日辺りから
私は3年前の椎間板ヘルニアの手術の傷がひどく痛み、左足全体が痺れたようになり
家の中を歩く時でさえ、歩きはじめはおかしな格好になるのが自分でも嫌だった。
やっかいなこの傷は、雨を予感すると必ず痛み出し、しかもそれは100%的中し今まで
外れたことはない。カーテンを開けて外を見ると、寝静まった街は雨に濡れていた。
私の見た夢というのは・・・・・・・。
真っ暗な四角い部屋に私はいた。そこには、妹、父、亡くなった母、Qちゃんの5人で
何かを話していた。話の内容はよく覚えてはいない。
突然私の左肩がひどく痛み出した。着ていたシャツを片肌に脱いでみると肌の下が
異様な形で盛り上がっている。それは恐らく悪霊の仕業であろうということになって
印を結ぶと肌を突き破ってそれが飛び出してきた。私はひどく慌ててそれをつかもうと
するとそれはぴちぴちと跳ねながら胸の方まで移動してまた皮膚に潜り込もうとする。
やっとの思いでそれを捕まえると、それは、マンゴーの種のような形をした妖怪の
骨だったのだ。ふと妹を見ると妹の首筋にアリが行列をして登っていこうとしている。
私は妹の首にたかったアリを一匹ずつ毟り取るとアリはなんと私にくっついてしまった。
何かがぴしゃりと音を立てて私の後頭部から首にかけて吸い付いた。
私はそれをやっとの思いで毟り取ると、それは、ばらばらになりかけたイカだった。
イカは目玉だけが黒々とした光を放って、ヌメヌメとした身体を動かしている。
その様子がいかにも気持ち悪く、私は途方に暮れると同時に何かを叫んだようだ。
何匹ものカエルが左足の靴下の中に入りうごめいている。カラスが鳥かごの中で
羽を休めているが、今にも鳴き声をあげそうな気配だ。私は気分が悪くなった。
父と母と妹がフェードアウトして、私は夢から覚めた。
さて、先ほどの夢解き事典を調べていた私は、今の状況を顕しているたった今
見た夢にひどく感心してしまったのは前述の通り・・・・。
アリは肉体から送られてくるSOSの信号に由来する刺激夢だそうである。
イカは性的願望夢か、絡み付かれる時は死の象徴、カラスは病気、死などの典型的な
凶兆・・・。しかし、カエルは予知夢ではツキや、運気の上昇ではあるが、象徴夢では
内臓を表すのだそうである。
風邪気味だった私は、台風の接近に伴って体調を崩しかけていたし、頭痛による
肩凝りもひどかった。しかも、胃の痛みを感じていたのだか、いつものことなので
薬も飲まず放っておいたのだ。週末には日帰りの旅行も計画していたし。
いつもは面白い読み物としてしか眺めてこなかった「夢解き事典」。
なかなか侮れないなというのが私の正直な感想である。
今日は無理をしないでゆっくり休もう・・・、そう決めると再び夢の人になるべく
私はベッドに戻ったのである。
それではまた、夢の中でお会いしましょう。
コンクリートで出来た長い階段を降りていくとそこは、群馬県大字の某所であった。
目の前は突然開け、美しい草原と霧のかかった幻想的な森が広がっている。
山の中腹には、今度私が入学することになった音楽学校が建っていた。
校舎の正面には大きな門柱が威厳をみせたたたずまいで訪れる人を圧倒している。
唯一そこが音楽学校であるという証しに、5メートルはあるかと思われる巨大な
「ト音記号」が看板の代わりにかけられていた。私はそこの校長と面接があるために、
今日ここへやってきたのだということを思い出した。
面接は、校舎の中にある広大な野菜市場で行われた。
校長はどうやらここを自慢にしているらしい。しかも、そこは学生食堂も兼ねていた。
この学食は床という床に腐ったキャベツの葉が一面に敷き詰められていて、
異様な匂いを放っていた。足の踏み場もないほど腐ったキャベツの葉が捨てられている
ここでは、生徒達が楽しそうにランチを楽しんでいる。
私は校長に学食のカウンターの中へ案内された。カウンターの中では真っ白な
ユニフォームを来たシェフが自慢げに本日のメニューを説明してくれた。
「今日のお昼は、たこ焼です・・・」
そういうなりシェフは、前掛けのポケットから取り出した材料をそっと私に見せてくれた。
「ここではタコがなかなか採れないんでね」
そういいながら取り出した物は、四角いハムを五pほどに切った束だった。
「学生はこれをタコだと思って、食べます」
なるほど・・・・。私は感心した。タコがなければ他の物で代用するのは「知恵」である。
しかし、私はたこ焼はタコではなければたこ焼といわないのではないかと疑問に
思ったが、それは黙っていた。
突然、狭い部屋へ押し込まれた。
そこは首まで目には見えない透明な水が入っていて立っていなければ溺れてしまう。
これでは座ることも出来ない・・・。
隣の部屋を見ると、私の亡くなった母がどら焼きを半分に割った物を壁に貼っている。
それは壁に模様をつけているのだろうと推測した。
私は見えない水に首まで浸かりながら次々に貼られていくどら焼きを眺めていた。
そして、その模様を実に美しい・・・と感動していた。
それではまた、夢の中でお会いしましょう。
0教団が世界を支配して久しい。それでも私たちは教団に抵抗して地下組織の
一員としてあるビルの中で暮らしていた。時々教団のメンバーによる襲撃があり
私たちの仲間の何人かは命を落としたりしていたが、教団に屈することはなかった。
人々は教団に決められた修行服を着ることを強制されていたが、もちろん私たちは
自由を求めてブラックマーケットを組織した人々の勇気ある行動によって
普通の服を着ることができた。
その日も密かに伝令が走り、日常に着る服を売り出すから集まるように
人々に伝えられた。その場所の名前は「オールド」。以前、スーパーマーケットが
建っていた土地に、人々はコミュニティを作り弾圧に耐えて暮らしていた。
私は屋根から屋根へと飛び移りながら、服を手に入れるために「オールド」を目指した。
久し振りに立つ市なので、人々の顔は喜びに輝いている。
広場にはありとあらゆる色彩のサイケな洋服が積み上げられ、人々が殺到していた
広場の片隅では※シンプソンズのホーマーのおやじが屋台を開き、
ポップコーン製造機から次々に怪しげな色のTシャツを作り出して
儲けるぞぉ、密造だぞぉっと巨大な太鼓腹を揺らせてわめきなががら、機械を操作して
ウハウハ笑い声を立てている。
私はこんなに沢山の服が市場に放出されるのは、本当に久し振りだなぁと
しみじみと幸福感に包まれた。それにしても・・・・・・。
ホーマーのおやじは、少し調子に乗りすぎている。このままでは、教団のパトロールに
見つかってただでは済まないぞと思った。なにしろ、儲けすぎているのだ。
私は決心して広場を横切り、教団の支配する街へ出ることにした。
なにしろ、喉がカラカラに渇いて死にそうなのだ。
道路を這いつくばって自動販売機にやっとたどり着いた。ジュースの缶を買おうとして
お金を入れたのだが出てきたのは葉巻だった。
私は絶望してビルの屋上へジャンプした。ビルの上から見ると銃を持った教団の
メンバーが子供たちを足蹴りにしているのが見えた。
テレビで子役として出ている男の子の頭の鉢が割れ、ガラスが食い込んでいる。
それは恐ろしい光景だったのはいうまでもない・・・・。
※ホーマー。アメリカのアニメ「シンプソンズ」の一家の主。
それではまた、夢の中でお会いしましょう。
約束よりも長くこの世の中に留まってしまった私は、引き続きこの世で暮らすためには
身体に染み付いた様々な「垢」を一度落とさねばならないと言われた。
迎えの人々が私を囲んで大きな神殿の中へといざなった。
そこで私は経文を読むように命じられ、「その人」の前へ出るように言われた。
厳かな光の存在であるその人は、私にはみることができない。
私のそばには不動明王が威厳のある姿でじっと私を見下ろしている。
私は何度も間違えながら経文を唱えた。
やっとのことで経文を思い出し、唱えることができた。すると・・
その度に私の身体は光を放ち身体が上昇していくのを感じた。
途中、ここで満足してはいけないと何度も経文を唱えるように誰かが言う。
大勢の人が和やかに談笑している中、私はなおも経文を唱えた。
人々は笑っている。私は苦しかった心の傷が癒されていくのがわかった。
私はその光の存在を間近に感じられるところまで迫っていたが、帰るように命じられた。
ものすごいスピードで私は地上に降りてきたが、勢い余って地下に潜り込んでしまった。
そこには、様々な異形の生き物がうごめいていたが、私には恐ろしくはなかった。
再び気がつくと私は水辺に立っていた。
どこかの寺の庭のようである。広大な池には赤い橋がかかっている。
私は橋の真ん中に立ってみた。あらためて私は目に見えない光の人に向かって
ひれ伏した。
今日の記念に、これをおもちなさい・・・。
そう言って手渡されたのは、一足の靴下だった。
足りなければ、またここへ来なさい。
そう言われて御礼を言おうとしているところで目が覚めた・・・・。
それではまた、夢の中でお会いしましょう。
Copyright(C), 1998-2009 Yuki.
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