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※以下は、CD『コンサート』(キャプテントリップ CTCD-641)のライナーノートの拡張バージョンです。そのため、内容が一部重複しますがご了承ください。

“Concert”はコンラッド・シュニッツラー独自のコンセプトだ。一般的な意味と区別するため”Con-Cert”(以下、コン・サート)と表記されることもある。

きっかけは、1972年に初めて購入したシンセサイザー EMS Synthi A を用いてギグを行ったことだ。70年代、彼はケルンやハンブルクなどでギグを行っているが、シンセ1台ではサウンドが不十分なため、もっとオーケストラみたいになるよう、演奏時に流すテープを制作した。

当時、このようなギグのスタイルは、もちろんCONさんだけが行っていたわけではない。しかし彼は、さらにそのアイデアを飛躍させたのである。彼はカセット・プレイヤーを複数台用意し、テープを同時にプレイして、ダイナミックにサウンドをミックスすることを思いついた。これこそがコン・サートだ。カセット・プレイヤーの台数はそのときどきで異なるが、通常、4~6台程度で行うことが多かったようだ。

CONさんはさらに、2台のポータブル・カセット・プレイヤーと小型ミキサーを腰にぶら下げ、頭にメガホン・スピーカーの付いたヘルメットを被り、路上や公園でコン・サートを行なった。これが、いわゆるメガホン・ヘルメットのパフォーマンスだ。ビデオ作品『CON VIDEO 70's』の冒頭にその映像が収録されている他、『Con3』や『Context』といった作品のジャケット・カバー・アートのモチーフにもなっている。

Con video 70
Con3 Context

そうしたスタイルで街を練り歩いているうちに、テープを売って欲しいという通行人が現れるようになった。そのため、70年代には、お金がなくなると、このパフォーマンスを行っていた。実際、彼が街頭に現れると、駆け寄ってくる人々がいたそうだ。彼は、ときにはシンセも一緒に持ち歩いて野外で演奏することもあった。

また1980年には、オーストリアのリンツで開催された"Ars electronica"フェスティバルで、このパフォーマンスのイベントが行われた。題して"DIE WANDELNDE KLANGWOLKE AUS BERLIN"(「ベルリンの動く音の雲」の意)だ。しかし、CONさん自身によるライブのコンサートはこの年が最後となった。なぜならば、「コンラッド・シュニッツラーのライブ・コンサートは、本人がその場にいなくても成り立つ」というさらなる考えを打ち出したからだ。彼はそれを実践するため、今日のクラシック音楽のように、コンポーザー(作曲家)の他にコンダクター(指揮者)の役割を設けた。コンポーザー、すなわちCONさん自身は、コン・サートのためのカセット制作に専念する。それに対して、コンダクターはライブのコン・サートを行う。つまり、コンダクターさえいれば、コンポーザーは不在でもライブ・コンサートは成り立つというわけである。

コンダクターは、CONさんが制作したカセットテープから自分が気に入ったものを自由に選び、コン・サート会場でミックスしてリアルタイムにサウンドを生成する。また、それに伴い、テープをプレイするときの開始位置を決めたり、各トラックのボリュームを自由にコントロールする。スピーカーの位置を決めるのもコンダクターの役割だ。

当時、主にコンダクター役を担ったのは、米国のジェン・ケン・モンゴメリー~Gen Ken Montgomeryだ。例えば、1986年9月3日、東ベルリンのErloeserkircheという教会でカセット・コンサートが開催されたときも、ジェン・ケンがコンダクターを務めている。実は、CONさんもその会場にいたのだが、彼は話をしただけだった。なお、このときのライブ音源は、後にカセット作品『CONCERT』としてリリースされた。(LP『CONCERT』とは内容が異なる。)



ところで、CONさんは、コン・サートのためのテープを自分自身でもスタジオでミックスして、コン・サート作品の制作をおこなっている。LP『CONCERT』はその一例だ。

Concert

その後、時代の流れと共に、カセット・コンサートはCDコン・サートへと移り変わった。今日では、主にヴォルフガング・ザイデルさんがコンダクターを行い、定期的にコンラッド・シュニッツラーのコン・サートを開催している。さらにCONさんは、リスナーが自分でコン・サートを行うことを希望している。例えば、4人の友人がステレオの機材を持ち寄り、CONさんと異なるミックスをすれば、独自のCDコン・サートとなるわけである。アメリカやノルウェーでは、リスナーによるコン・サートが実際に行われている。

【関連項目】

CTM.08 - Kassetten Konzert(ヴォルフガング・ザイデルさんによるコン・サートの映像)

Conrad SchnitzlerのCon-Cert写真集

Conrad SchnitzlerのCon-Cert写真集2

フリー・コンサートとコンセプト・コンサートについて(インフォメーション・アバウトCONミュージック)

Wolfgang "Sequenza" Seidelさん、Conrad Schnitzlerを語る

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