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●英語オリジナル版『Future Days: Krautrock and the Building of Modern Germany』



リリース元: Faber & Faber Rock Music (2014年8月7日)
著者: David Stubbs

8月7日、英国の音楽出版社より、クラウトロックについての英語のペーパーバック本『Future Days: Krautrock and the Building of Modern Germany』が発売されました。内容は、クラウトロックの主だったグループやアーティストについての紹介がメインで、各グループごとに10章に分かれています。またその後に、NDWについての章と、"デヴィッド・ボウイ以降、ポスト・パンク、現在とこの先"の章があり、計12章で構成されています。総ページ数は512ページ(本の厚さ約3.5ミリ)で、そのほぼすべてがテキストのため、かなりボリューム感があります。なお、本書には個々のLP/CD/カセットの作品レビューは含まれず、各グループについての紹介・説明の過程でいくつかの作品について触れる程度です。写真は、各章の頭に白黒写真が1枚ずつ掲載されています。著者はロンドン在住の作家・音楽ジャーナリストです。

さて、Conさんについては、本書では主に"Berlin School"の章で触れています。とはいえ、筆者はConさんとは特に交流はなく、既存のインタビューや記事、他のアーティストの証言をまとめた形になっています。また、インターネットで相当ググって情報を拾い集めた形跡があります。概ね、記事としてよくまとめられていて、Conさんという人を大まかに知るにはいい資料だと思いますが、筆者はConさんを直接知っているわけではないので、「また聞き」による勘違いも若干含まれています。例えば、「Conさんは好きなアーティストとしてホークウインドを挙げている。もしかしたら、ホークウインドのフロントマンになっていたかもしれない、とConさんは語った。」といった記載がありますが、これは明らかに勘違いで、実際、私がConさんから生前直接聞いた話では、「ホークウインドは同じEMSのシンセを持っていた関係で親しくなったけど、彼らの音楽は大嫌いなので、グループへの参加を持ち掛けられたらどうやって断ろうか考えていた。」とのことです。

この手のConさんについての聞き違い・勘違いは、本書に限らず他の著作にもしばしば見られることです。Conさんは、物事に対して、独自のユニークでクリエイティブな視点で考えを述べたりアイデアを出したりする人で、しかも、特に、(彼にとっては外国語である)英語でやり取りする場合は、限られた英単語を用いて、ときにはその単語本来の意味を超えたメッセージを伝えようとします。そのため、Conさんと付き合いを重ね、Conさんという人をよく知っていないと、彼が本当に言いたいことを理解するのはなかなか難しいと思います。

なお、Conさん関係者の間では、本書の記載内容は全般的にクラウトロックの表面的な部分に留まり、あまり深層には触れていないようだが、Conさんについての記載は概ねOKという見解です。クラウトロックについての本は、一般的には、やはり、当のドイツ人が執筆したものが深いところまで触れているのでお勧め、とのことです。

●日本語版『フューチャー・デイズ - クラウトロックとモダン・ドイツの構築』



リリース元: Pヴァイン(2016年6月22日)

Conさんについての記載内容を改めて日本語版で読み返してみると、英語版と同様、多くの適切な記述に混じって、ところどころ、「また聞き」による勘違いに起因する誤った内容が含まれていることが気になります。
最も変なのは、やはり、ホークウインドについての一節です。勘違いの末、「Conさんは、実は有名になりたかったようだ。」などど的外れな思い込みに至っています。鵜呑みにしないようお願いします。

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