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リリース元: Spalax Music (CD 14274 1993年)
リリース枚数: 1000

Con Brio (90/05)
1. Ouverture (5:04)
2. Gigue (3:09)
3. Kadenz (3:54)
4. Martellato (4:25)
5. Fête Champêtre (3:58)
6. En Ballade (4:25)
Divertimenti "Con Alcuna Licenza" (89/05)
7. Garbato (2:00)
8. Ernsthaft (3:29)
9. Affannato (3:38)
10. Lacrimoso (2:30)
11. Sfogato (1:15)
12. Gefühlvoll (1:51)
13. Lamento (3:07)
14. Concitato (2:40)
15. Finale Maestoso (2:52)
Klavierstücke
16. Etüde II (00022) (3:12)
17. Scherzo N°1 (00022) (4:08)
18. Schalkhaft, Schelmisch (00033) (4:00)
19. Ungedulgig, Romantisch (00035) (5:03)
20. Die Kleine Sekunde (00022) (5:57)

1993年にフランスのSpalax MusicよりCDでリリースされた本作品は、1989年~1992年にConさんが制作したプライベート・リリースの中から、Serge Leroyによって選ばれた作品集です。(Serge Leroyは、1994年にArtgalleryレーベルを立ち上げた人です。)

Conさんが1990年に始めたコンテンポラ・シリーズ(90/XXシリーズ、およびその後の00/XXXシリーズ)の初期作品は、その多くが、「コンテンポラ」の名称どおり、コンテンポラリー・ミュージック(現代音楽)を打ち込みのシンセで表現したものでした。(その後、しばらくしてから、ゴリゴリのテクノっぽい作品など様々な作風のものが00/XXXシリーズに加わりました。)本作品も、打ち込みによる現代音楽風で、使用されている音色のほとんどは、クラシックの楽器音を模したシンセサイザー音源です。ただし、音色がどうしてもチープになってしまうこともあって、ところどころ、どこかユーモラスな仕上がりとなっています。(Serge Leroyは、オーケストラの演奏家にConさんの作品を演奏してもらおうとしていましたが、実際に演奏家を見つけるのは難しかったようです。)

タイトル曲の「Con Brio」(トラック1~6)はリズム色が強く、かなりノリのある作品です。このCon Brioというタイトル名は、クラシック音楽の譜面に用いられる指示語で、「活気をもって」という意味のイタリア語です。音色がチープなことを逆手にとって、わざとこのようなユーモラスな作風に仕立てたように思えてなりません。なお、オリジナル版はプライベート・リリース作品『90/05』に収録されています。(本作品のトラック1~6は、『90/05』のトラック3、2、4、5、6、7。)

「Divertimenti "Con Alcuna Licenza"」(トラック7~15)は全体的に静かな曲調で、タイトルの意味は、「喜遊曲 "ある程度の自由さをもって"」です。よく聴くと、「ある程度の自由さ」の表現からか、シンセサイザーっぽい音色のピコピコ音も控えめに使用されています。なお、オリジナル版はプライベート・リリース作品『89/05』に収録されています。(本作品のトラック 7~15は、それぞれ『89/05』のトラック12、13、7、20、21、15、14、19、2。)

「Klavierstücke」(トラック16~20)のタイトルの意味は「ピアノ小品」で、打ち込みによるピアノ曲です。トラック16のオリジナル版は『00/022』のトラック2、トラック17のオリジナル版は『00/022』のトラック12、トラック18のオリジナル版はクレジットには『00/033』に収録と記載されていますが、実際にはどうやら収録されていないようで不明、トラック19のオリジナル版は『00/035』のトラック5、トラック20のオリジナル版は『00/022』のトラック14です。

また、クレジットによると、収録された3作品のうち、最初の2作品(トラック1~15)はSerge Leroyによりミックスされたとのことです。当時、オリジナルのプライベート・リリース版は、まだCD-Rではなくカセットでリリースされていましたが、CD-R版の方と本作品を聴き比べてみたところ、本作品の方が音質が若干ソフトな感じに仕上がっていました。なお、3作品目(トラック16~20)のピアノ作品についても、CD-R版のプライベート・リリースと本作品とで、ピアノの音質が少し異なります。

ところで、本作品のジャケットの写真は、ベルリン・ダダの創設者の一人、ラウル・ハウスマン~Raoul Hausmannの代表作『機械的頭部・我らの時代の精神』~"Der Geist Unserer Zeit – Mechanischer Kopf"とのことです。折り込みのインサートには、Gen Ken Montgomeryの『コンラッド・シュニッツラーとカセットコンサートの歴史』~"Conrad Schnitzler and History of the Cassette Concert"の英語テキストなどが掲載されています。裏ジャケットには、クレジットの記載はないものの、なんと、1968年にConさん自身が制作したチェロを弾く自画像"Am Chello"が、さりげに掲載されています。まるで二重露出で撮影した写真のように、チェロの弓の速い動きを表現していて、Conさんの、音楽以外の優れたアートの才能を垣間見ることができる貴重なインターメディア作品です。


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